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インタビュー

2024.03.01 (最終更新日:2024.05.29)

「においの“なんとなく”をなくす」をミッションに掲げる 株式会社レボーン

成重敏夫

GO ALL OUTのインタビュー企画「未来を創る起業家たち」。今回は「においの“なんとなく”をなくす」をミッションに掲げ、高いレベルでのにおいの測定に取り組む株式会社レボーン代表取締役の松岡広明さんにお話をうかがいました。

商品ではなく「においの測定」そのものを提供するビジネスモデル

――事業内容のご説明をお願いします。

松岡:弊社の事業は、「におい」の解明に焦点を当てています。”においセンサー”と呼ばれる、においを感知するセンシングデバイスと、”におい再現デバイス”と呼ばれる、においを放出するデバイスの2つが重要な役割を果たします。弊社では、「Obre」と「Hearom」という製品を開発していますが、これらを販売するのみでなく、「においの測定」そのものに対して対価をいただくのが弊社のビジネスモデルです。

株式会社レボーンの「Hearom」

――においの測定はどのような業界で必要とされるのでしょうか?

松岡:食品、化学、化粧品、自動車産業など、幅広い範囲に及びます。
例えば、食品産業では工場での品質検査において、異物の混入をにおいで検知する際に、当社の技術が活躍しています。一般に、味の感じ方は70%から90%が香りに左右されると言われており、このことからも食品産業でのにおいの重要性がうかがえます。
自動車産業では、特に中国市場で、新車のにおいに対する嫌悪感が販売に影響が出ているため、新車のにおいを抑制する技術が重宝されています。この分野でも、当社の技術が求められています。

――それらの業界がレボーンさんの技術を使う前はどのように対応していたのでしょうか?

松岡:においを化学的に分析する方法として、ガスクロマトグラフィーが知られています。この方法は、二酸化炭素やアンモニアなどの成分を分析するものの、実際にはにおいそのものを測定するわけではありません。これまでにおいの分析は人間の感覚に依存しており、企業が品質チェックや管理評価を行う際も、人の手によって実施されてきました。しかし、人間の感じ方は体調や時間帯によって変わるため、一貫したチェックを行うことが難しいという問題があります。

13歳でロボカップ世界大会へ ロボットに「鼻」がないことに疑問

株式会社レボーン・松岡広明代表取締役

――現在の事業に取り組もうとお考えになったきっかけをお聞かせください。

松岡:子どもの頃からロボットへの興味が深く、13歳のときにロボカップの世界大会への参加を経験しました。そこで、ロボットがカメラやマイクを備えている一方で、「鼻」がないことに疑問を感じました。それから20年以上、ロボットに「鼻」、つまりにおいを感知する機能を付加する方法を考え続けています。この思いが今の事業につながっています。

――事業として取り組むにあたり、においの測定に需要があると感じたきっかけとなる出来事はありましたか?

松岡:8年前、大学院生だった私がレボーンを創業した際、「においセンサー」の概念はまだ模索段階でした。大学の教授や研究者として、においの解明に関心を抱いていましたが、日本の大学では世界中のにおいデータを集めることが困難でした。そこで、事業化を通じてセンサーを広く配布し、大量のデータを収集することで研究を推進することを決意しました。この過程で、におい測定の需要に気付き、その需要に応える製品展開を行っています。

カメラやマイクが映画産業やWeb会議に革命をもたらしたように、においセンシングも新たな可能性を切り開くことが私たちの目標です。

レボーンは「Reborn(再生)」と「Revolution(革命)」

――レボーンの社名に込められた意味とは何ですか?

松岡:レボーンという社名は、「Reborn(再生)」と「Revolution(革命)」を掛け合わせた造語です。私たちは、人間の本質に迫るために「におい」に焦点を当てています。私がにおいに注目しているのは、単ににおいが好きだからではなく、においを通じて人間の個性を理解しようと考えているからです。においの解明を通じて人間を深く理解し、人間の感性を探ることが私たちの究極の目標です。このような背景から、社名をレボーンとしました。

――競合他社はありますか?

松岡:現時点では特定の競合他社は存在しませんが、視点によっては競合があるとも言えます。においセンサー単品で見た場合は競合が存在しますし、香料を扱う企業や、においを放出する装置を提供するディフューザー会社も競合に数えられるでしょう。しかし、私たちが提供する価値はこれらの企業とは一線を画しており、その点を理解しているお客様が私たちのターゲットです。この観点からは、競合がいないともいえます。

私たちの役割をインターネットに例えるなら、私たちはインターネットそのものを提供するベンダーのような存在です。私たちの目標は、皆さんのプラットフォームとなることです。現在は競合ともいえる、においセンサーを提供する会社も香料会社も、最終的には私たちに発注することになるでしょう。

――事業化されてからご苦労されたことをお聞かせください。

松岡:市場の理解を得ることが難しいと感じています。においを測定することの経済的価値や社会的意義を理解しているお客様には、当社の技術が非常に熱心に受け入れられますが、投資家や銀行などはこの事業の収益性に疑問を持たれることがあります。

――事業を進めていく中でこだわりや譲れないところはありますか?

松岡:小手先のビジネスは行わない方針です。我々がミッションに掲げている「においの“なんとなく”をなくす」「においの民主化」という文脈はすごく重要で、それは1000年後にも残る技術ですし、私にとっては生きていていいんだと思える価値でもあります。

――レボーンの採用についてお聞かせください。

松岡:「におい」がキラキラしたワードに聞こえて弊社に関心を持ってくださる中で、少数ではありますが、レボーンに加わりたいという強い意志を持って入社する人もいます。この点については、他のスタートアップとは異なる点だと感じています。

――レボーンというブランドが採用力になっているんですね。

松岡:これが理想的な状態だと考えています。レボーンは私一人のための組織ではないので、私が目立つ必要はなく、どちらかといえば支える役割である黒子でいるべきだと思っています。私が社内でカリスマ的な立場になってしまうと、他の人の意見が聞きづらくなってしまうため、わざと冗談を言ったり、親しみやすく振舞ったりしています。

レボーンの将来 人類をアップデートする存在に

株式会社レボーン・松岡広明代表取締役

――今展開されているビジネスを通して世の中のどんなことを解決したいと思いますか?

松岡:私たちが解決したいことは多岐にわたります。
例えば、麻薬探知犬にかかる高額なコストや重労働を、私たちの技術で軽減できる可能性があります。人間のヘルスケア管理においても、私たちの技術が役立つでしょう。
将来的には、渋谷のスクランブル交差点でのにおいモニタリングや、自動車内のにおいコントロール、さらには遠隔地からのにおい送信などが可能になるかもしれません。世界中のスパイスや香料を登録し販売すること、ワインの品質評価など、さまざまな応用が考えられます。

においをクリエイトする技術を広く使えるようになれば、新しいビジネスの展開や「においクリエイター」という新しい職業が生まれ、人類の豊かさに貢献できると考えています。

ビジネス面では、食品、化学、化粧品の品質管理、原料調達、自動車産業への展開、そしてヘルスケア領域への進出などが考えられます。

――将来、レボーンをどういう企業にしたいと思いますか?

松岡:私たちの目標は、アルファベット(Googleの親会社)を超えることです。アルファベットが提供しているのはプラットフォームです。カメラやマイクを作った人が、200年から300年前の時代に大きな変革をもたらしたように、私たちもこの時代にそのレベルの変革を起こすことが可能だと考えています。アルファベットを超えても全然おかしくないと認識していますし、それくらい人々の生活を豊かにする能力が私たちにはあると確信しています。

――100年先のレボーンはどうなっていると思いますか?

松岡:人々の生活に欠かせない存在となっていると考えていますし、人類をアップデートする存在になるべきだと思っています。かといって傲慢になって搾取するような組織にはなってほしくないと強く願っています。最終的には、小学生の教科書に載るような存在になることが理想です。

株式会社レボーン
https://www.revorn.co.jp/

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この記事を書いた人

成重敏夫

北九州市を拠点に活動するライター・Web編集者。 企業取材、スポーツ取材など幅広く対応しています。

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