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2025.05.15 (最終更新日:2025.05.19)

半導体業界の未来を創る教育事業 九工大発スタートアップが描く人材育成の新構想 株式会社センタシストアカデミー代表取締役 中岡佑輔氏インタビュー

成重敏夫

半導体設計者の教育環境の整備に取り組む企業が北九州市に誕生しました。2024年10月に設立された株式会社センタシストアカデミーは、九州工業大学大学院博士課程に在籍する25歳の若き経営者が率いています。

半導体設計の全工程を一貫して学べる環境を整備し、業界の人材不足解消に挑戦する同社。社会課題の解決を第一に考える、代表取締役 中岡佑輔氏にお話を伺いました。

物作りへの情熱から半導体の世界へ

──中岡さんは現在、九州工業大学大学院博士課程に在籍しているんですよね?

中岡さん:呉工業高等専門学校(広島県呉市)で、本科で5年と専攻科で2年の計7年間学んだ後、九州工業大学の修士課程に進学し、現在は博士後期課程1年に在籍しています。

──高専に進学しようと思ったきっかけをお聞かせください。

中岡さん:昔から、単純に物作りに興味があったんです。高専の電気情報工学科に入り、電気やプログラミングなど、工学系全般に興味を持つようになりました。高専は先生方のレベルが非常に高く、自然と勉強する意欲が湧いてきて、みんなで一緒に勉強していこうという雰囲気が生まれます。振り返ってみると、本当に充実した7年間でしたね。

──九州工業大学での研究内容を教えてください。

中岡さん:材料の特性を利用して人工知能の情報処理をする研究をしています。今の半導体やコンピュータとは一風変わった計算処理ができる点に惹かれました。研究内容が面白かったというのが、九工大を選んだ大きな理由の一つです。

社名に込めた理念と思い

──社名の由来を教えてください。

中岡さん:「センタシスト」はセンター(center)とアシスト(assist)を組み合わせた造語です。常に産業の中心にいる人材を「アシスト」できる会社になればという思いを抱いています。スタートが教育事業であるため、「アカデミー」という言葉を加えました。

北九州から始める新たな挑戦

──起業を決意されたきっかけをお聞かせください。

中岡さん:高専在学中から半導体の研究をしていたので、将来は半導体関連の会社に就職するんだろうなと漠然と考えていました。そんな中、現在弊社で取締役を務めていただいている林 さんと話をしているときに「半導体設計者を増やしていかないといけないよね」という話になり、そこから事業化に誘っていただきました。

実は、九工大に来る前から学内に起業支援の体制があることを知っていて、いつか起業にも挑戦してみたいと思っていたんです。そういう意味では、本当にタイミングがぴったりでしたね。

──起業準備はスムーズに進みましたか?

中岡さん:会社設立の際は、COMPASS小倉にサポートしていただき、行政書士の方と一緒に、自分で一から書類を作っていきました。定款の作り方など、何もかもが初めての経験で大変でしたが、同時に楽しさも感じていました。

──COMPASS小倉のアクセラレーションプログラムにも参加されたそうですね。

中岡さん:アクセラレーションプログラムは、外部講師による講座など全6回行われ、起業の心構えから、マーケティング、広告、IPOまで、スタートアップに必要な知識を幅広く学びました。
2回目の講座では、ディー・エヌ・エー発のベンチャーキャピタルの方から、スタートアップの現場での具体的な課題や解決策について学び、非常に刺激を受けました。

半導体設計教育の革新

──事業内容についてお聞かせください。

中岡さん:半導体設計者を増やすために、設計を全工程にわたって学べる環境を提供します。
半導体の設計は幅広くて複雑なことから、設計をトータルで学べる環境がなく、基本的には最初の工程を教えるようなところが多かったです。しかし我々の事業ではその設計を一貫して行う環境を提供します。

このような教育サービスが、これまでに存在しなかったのは、設計用のアプリケーションツールが非常に高額であったことが大きな理由です。商用利用では、1人が使うライセンスで数億円するものもあり、教育用途で使用するのが難しい状況でした。

今回、半導体などの設計ツールを持つシノプシス社との提携により、教育用に適切な価格でツールを提供していただき、この課題をクリアすることができました。シノプシス社にとっても、将来の顧客となる学生や若手技術者に自社のツールを使ってもらえる機会となり、Win-Winの関係を築くことができました。

分業化が進む業界の課題

──現在の半導体業界の課題について教えてください。

中岡さん:半導体業界では、設計の分業化が非常に進んでいます。40代後半から60代の方々は設計全体を1人でやっていた経験を持っていますが、最近では担当部分以外の工程を知らないという人も珍しくありません。担当以外の領域を理解していないと、コミュニケーションを取りづらくなることもあり、設計スケジュールに影響が出てコスト増につながります。

──貴社のサービスはその課題にどう対応するのでしょうか?

中岡さん:我々の事業で半導体設計を体系的に学ぶことで工程全体の流れを理解し、各工程を担当できる人材を育成します。さらに、将来的に設計だけでなく製造の知識も身につけていただきたいと考えています。今後、結びつきが強くなっていくであろう人工知能と半導体の統合にも力を入れていきたいと思っています。

人材育成から業界の未来へ

──今後の事業展開についてお聞かせください。

中岡さん:まずは企業向けのサービスからスタートしますが、最終的には誰でも受講できる環境を整えたいと考えています。特に学生は半導体について、知識は学んでいてもスキルはあまり身についていません。そのため、設計会社や製造会社、半導体関連企業の仕事内容がよくわからないまま、年収の良さだけで入社を決めるケースが多いんです。弊社は教育のカリキュラムを洗練していき、より実践的な学びの場を提供していきたいと考えています。

──中小企業支援にもつながりそうですね。

中岡さん:中小企業では人材育成に苦労していますが、弊社のサービスを使うことで、企業の新人教育の負担を減らすことができます。採用時の人材のミスマッチも防ぐことができるので、中小企業がもっと活躍できる環境を作れるんじゃないかと思っています。

──人材確保の観点から、半導体業界の魅力をどう考えていますか?

中岡さん:半導体の分野は今後も伸びていく産業です。AIや自動運転が発展すれば、半導体も同時に伸びていきます。安定していて給与水準も高い業界なので、学生にとっても転職者にとっても魅力的な選択肢になると考えています。

──文系出身の方でも半導体業界に入ることは可能なのでしょうか?

中岡さん:半導体設計の最初の工程はコードを書いていく作業なので、文系の方でも入りやすいのではないでしょうか。

社会課題解決への思い

──将来的にどのような企業を目指していますか?

中岡さん:一番信頼のある半導体の会社として、国内にとどまらず世界から認められる存在になることを目指しています。会社を10年、20年と持続させていくにあたり、利益だけにとらわれず、社会課題をしっかり解決していくことを目標としています。業界内でも教育環境の必要性を指摘する声が多く、大学からも学生起業の事例として応援いただいているので、その期待に応えて半導体設計者の育成を通じた業界貢献を目指していきたいですね。

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この記事を書いた人

成重敏夫

北九州市を拠点に活動するライター・Web編集者。 企業取材、スポーツ取材など幅広く対応しています。

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