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インタビュー

2024.09.12 (最終更新日:2024.09.12)

世界最大の国内総合楽器メーカー グループ会社が目指す音楽業界のオープンイノベーション

成重敏夫

絶え間なく変化する音楽エンターテインメントの世界で、ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス(以下YMEH)が新たな一手を打ちました。YMEHのビジョンである「人々に音楽体験を提供し、音楽・演奏のある心豊かな人生を支える」を実現するために設立された事業開発室。その活動について、担当の藤原正和さんにお話を伺いました。

音楽業界の現状と課題

音楽を楽しむ方法も、昔はCDが主流だったのが、今ではiTunesのダウンロード配信やサブスク(サブスクリプション=定額サービス)が一般的になりました。最近ではライブもオンラインで視聴でき、自宅でもライブの臨場感を味わえるようになっています。
DAW(Digital Audio Workstation)の普及により、音楽制作環境も大きく変化しています。エジソンのレコード発明以来、音楽は常に新しい形で進化しており、近年は特にインターネットの影響でその変化が加速しています。
こうした変化の中で、現在の音楽産業について藤原さんは、「音楽産業は寡占市場だと考えています。私たちのような既存企業がスタートアップ企業と手を組み、必要なサポートをすることで、多くの新しいプレーヤーが市場に参入し、産業全体が活性化することを目指しています」と述べています。

YMEHの事業開発室の取り組み

このような背景から、YMEHは2022年10月に「音楽への愛に投資します」というキャッチフレーズを掲げ、事業開発室を設立しました。藤原さんは「事業開発室では、音や音楽を作り出すクリエイターやアーティストを中心に、持続可能なイノベーションを目指し、新しい価値の創造に取り組んでいます」と説明しています。

事業開発室の投資戦略について、藤原さんは次のように述べています。「投資は、短期的に既存事業とのシナジーを期待するものと、中長期的な探索的な投資に分かれます。投資先は日本国内で、アーリーからレイターまでの企業を対象にしており、特定のステージに絞らず柔軟に対応しています。ポートフォリオの考え方は持っていますが、オープンイノベーションの一環として、自前主義にこだわらず、さまざまな領域での可能性を探っています。」

具体的な取り組み事例

YMEHの事業開発室は、新規事業と地域活性化を目指し、2024年春に北九州市と立地協定を結びました。藤原さんは『産学官の連携を進めており、北九州市や九州工業大学との協力が重要です』と述べています。また、IT人材の育成にも力を入れています。
さらに、スタートアップ企業との協業について、藤原さんは「まず、創業者の方とバイブスが合うことが大切です。不確実な未来に向かって共に進むわけですから、言葉では表現しづらい部分も含めて、お互いにピンとくる瞬間を大切にしています。これは、ジャムセッションのようなもので、何度も試しながら一緒に未来を描くことができるかを重視しています」と語っています。

事業開発室の未来像と藤原さんの役割

事業開発室の今後の目標について、藤原さんは「設立から約2年半が経ち、投資件数も少しずつ増えています。今後は、PoC(概念実証)などの具体的な成果を示していきたいです」と話しています。
長期的なビジョンとして、「事業開発室の取り組みが、社内と社外の間の“浸透膜”のような存在として認識されることを目指しています。内向きにも外向きにも作用し、5年から10年をかけて、新しい顧客価値の提供に挑戦することが、社内で自然なことになるよう活動していきたい」と藤原さんは述べています。

藤原さん自身の役割については、「多くの方々と対話し、その中で得た学びを社内に持ち帰り、また社内の人間を外部に連れて行くことで、社内外をつなぐ橋渡し役になれたらと考えています。それが全てのきっかけになるような気がしています」と語っています。

まとめ

YMEHの事業開発室は、音楽エンターテインメントの形が次々と変わる中で、柔軟に対応し、新しい価値を創造しています。その中心にあるのが、「人々に音楽体験を提供し、音楽・演奏のある心豊かな人生を支える」というYMEHのビジョンと、オープンイノベーションのアプローチです。
外部との新しい取り組みを積極的に進め、北九州市との立地協定で見られるような地方創生・文化振興への貢献も印象的です。さらに、5年から10年という長期的な視点で、事業開発室を社内外の「浸透膜」として機能させようとする姿勢も興味深いところです。
音楽に直接関わるスタートアップがまだ少ない中で、YMEHは視野を広げ、音楽産業の周辺領域にも積極的にアプローチしています。音楽と他業界の掛け合わせがもたらす新しい可能性に、YMEHの事業開発室がどのように貢献し、新たな価値を生み出していくのか。その展開に今後も大きな注目が集まりそうです。

株式会社ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
https://www.yamaha-meh.co.jp/

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この記事を書いた人

成重敏夫

北九州市を拠点に活動するライター・Web編集者。 企業取材、スポーツ取材など幅広く対応しています。

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